2025-06-06
サイエンティフィックモールディングとは？
サイエンティフィックモールディング（科学的成形）は、射出成形の全工程をデータと分析に基づいて最適化する手法です。経験や勘に頼らず、材料特性や金型内の圧力・温度を数値で管理し、安定した品質と高い再現性を実現します。特に6ステップスタディは、現場での標準化・再現性向上に有効なアプローチです。
6ステップサイエンティフィックモールディングの流れ
-
1. 充填速度プロファイルの最適化
樹脂の流動性やキャビティ充填挙動を観察し、最適な射出速度プロファイルを決定します。Moldflow解析では、充填バランスやエアトラップの発生リスクを事前に評価できます。 -
2. V/P切替点（Velocity/Pressure Transfer）の決定
充填から保圧への切替タイミングを最適化し、ショートショットやバリの発生を防ぎます。圧力センサーやシミュレーションで最適点を特定します。 -
3. 保圧プロファイルの最適化
保圧値と保圧時間を調整し、ヒケや寸法精度を最適化します。Moldflowのパッキング解析で、最適な保圧条件を科学的に導き出せます。 -
4. 冷却時間の設定
成形品の冷却・固化を十分に行い、反りや残留応力を最小限に抑えます。冷却解析で最適な冷却時間を予測可能です。 -
5. クッション量の確認
成形機のスクリュー位置（クッション）を確認し、安定した保圧・充填ができているかを検証します。クッション量が適正でないと、ショートショットや寸法不良の原因となります。 -
6. モールディングウィンドウの設定と検証
上記の条件をもとに、安定した品質を得られる成形条件の範囲（モールディングウィンドウ）を決定し、現場での再現性を検証します。Moldflowのウィンドウマップ機能で可視化が可能です。
各ステップでのMoldflow活用例
- 充填・保圧・冷却の各段階でシミュレーションし、最適条件を事前に予測
- V/P切替点やクッション量の最適化をデータで裏付け
- モールディングウィンドウを可視化し、現場での条件変動に強いプロセスを構築
サイエンティフィックモールディングのメリット
- 不良率の低減と品質の安定化
- トライ＆エラーの削減によるコストダウン
- 量産立ち上げのリードタイム短縮
- 現場での再現性・標準化の向上
樹脂流動解析技研のサポート
当社では、Autodesk Moldflow Expert Certified技術者が6ステップサイエンティフィックモールディングの全工程をサポート。日本語・英語バイリンガルで分かりやすいレポートと最適条件提案を提供します。
科学的アプローチで安定生産を実現したい方は、ぜひご相談ください。